小石川かりんとう

east mattuのブログです

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

幽霊客船殺人事件

「幽霊客船殺人事件」は、小説版金田一少年の事件簿 の二作目です。一作目の「オペラ座館 新たなる殺人」よりも本格度が増しています。

豪華客船…ではなく古くてボロい客船に乗船した金田一と美雪は、逃げ場のない大海原の上で船員たちがひとり、またひとりと「消され」ていく恐怖の事件に巻き込まれてしまいます。

恐るべき殺人犯、幽霊船長とは誰なのか!??

この話、前に嵐の松本潤主演でドラマ化されてて、僕はビデオで借りて視聴したのですが、ゲストでいかりや長介とか石原良純とかが出ててビックリしました。松本版金田一には他にもミスターマリックとか成宮寛貴(まさかの女装で登場)とか東国原英夫とかムッシュかまやつ(キリないのでこの辺で)とか、今にしてみれば結構豪華な顔ぶれでした。まあドラマの話はまた今度にして、ここからはネタバレ含んだ感想書きます。


今回の話は動機が可哀想でした。(いつも可哀想だけどいつも以上に!)事件のもみ消し、ていうのはよく聞く話ですが、それで他人を傷つけてしまうのは本当に許せないです。漫画で悲恋湖を読んだ方なら分かるでしょうが、遠野は完全に殺す人を間違えましたね 笑

事件のメイントリックは船長室に朝食の用意がしてあったことにより成立したアリバイ工作ですが、これは「金田一」にしてはあっさりした物理トリックで、つまらないとは言わないですがインパクトが薄い気がしました。まあ僕程度の頭だったら「なるほど、その手があったか」となりますが、金田一やコナンだったらあっという間に解けても良さそうなトリックだろって感じです。

今回面白いなと思ったのは、小説ならではの文章で読者を騙すトリックです。叙述トリックってやつですかね。

話の途中で何度か出てくる犯人視点での描写、それと「竜王丸航海日誌」

日誌の内容と犯人視点の描写の内容が酷似しているため、恐らく大半の読者は「この日誌は犯人が自分で記述している」と思うのではないでしょうか。注意して読んでいる方なら分かるでしょうが、ハジメたちが乗っている船の名前は解決編まで明かされません。しかし読者はこの日誌により、「この船の名前は竜王丸」だと思わされたんじゃないでしょうか。そして、日誌には自分が娘をもつ父親として記されているので、読者は「この日誌の著者、つまり犯人は娘がいる男だ」と思わされたんじゃないでしょうか。そうミスリードさせることが作者のアマギさんの狙いだと思います。

惜しいことに僕はドラマで視たためこの事件の犯人は読む前から知ってました。だからこの叙述トリックがどれくらいの威力を持ち、そして僕は騙されてしまうのかどうか、僕には永遠に分かりません。記憶を無くしてから再読しない限りは。

解決編で、実はその日誌はすでに他界していた犯人の父親により書かれたもので、竜王丸とはオリエンタル号に衝突したタンカーの名前、ハジメたちが乗っている船の名前はコバルトマリン号であり、日誌に記されていた娘こそがこの事件の犯人、幽霊船長であることがわかります。よくできたトリックだなと思いました。ただし先程もチラッと書きましたが注意深く読んでいる方には日誌を書いている者と犯人は別人だということがバレると思います。さらに勘の働く人なら日誌に出てくる娘が犯人であるところまで想像できると思います。そうなると容疑者はかなりしぼられ、事件は一気に簡単になるでしょうね。この話もミステリの初級から中級くらいのレベルでしょうね。
ただし、三作目はこれよりも格段にレベルの高い叙述トリックが登場します。それについてはまたいつか書きます。
スポンサーサイト
  1. 2013/01/27(日) 17:53:50|
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:0

魔球


「九回裏二死満塁、春の選抜野球大会、開陽高校エースの須田武志は、最後に魔球を投げた!
全てはこの一球に込められていた…
捕手北岡明は大会後まもなく、愛犬と共に刺殺体で発見された。野球部員たちは疑心暗鬼に駆られた…」

というのが東野圭吾さんのミステリー「魔球」のあらすじです。

高校球児に焦点をあてたミステリーです。
しかし登場する開陽高校野球部の部員たちは、とても選抜に出場した野球部とは思えぬ、根性が歪んだ暗い人間ばかり。それが伝染したかのように物語自体がとても暗く、そしてどこか不気味な雰囲気が漂っていて、特にオカルトな要素があるわけでもないのに読んでて怖くなりました。高校生の時に読んだんですが、読んでいた期間中に部活の仲間とかに会うと、
(やっぱり現実の仲間はこうだよなー)
ってホッとしたりしてました。

主役というわけではないと思いますが、物語の中心人物は開陽の天才エースピッチャーである須田武志。この話は彼の魅力によって支えられていると言って良いと思います。

須田の豪速球を唯一捕球できた北岡が殺され、捜査線上には開陽高校の野球部が上がります。しかし犯人が分からぬまま第二の殺人が起き、傍らには「マキュウ」と書かれた謎の文字。果たして犯人は、そし動機は…?

野球と推理が絡んでいたので両方好きな僕にはうってつけの本でした(笑)
ただ、最初に書いたとおり、野球らしさとかはあまりないです。あくまでミステリーなんで、不気味で、そして悲しい話です。興味のある方は読んでみてください。
ここからはネタバレ含んだ感想かきます。





一度書きましたが、須田武志というとてもストイックな天才が物語の柱であり、彼で始まり彼で終わる話だと思います。

捕手の北岡や二番手投手の田島を除いて根性なしな部員ばかりしかいない野球部を選抜に導いた時点で、須田という投手がいかに凄いかは分かると思います。


しかし彼には野球など二の次でホントは、夫を早くなくし貧しい思いをしながらも自分と弟を育ててくれた彼の母を守ることが全てだったのです。

そのためにはとにかく大金を手にしなければならない。自分にできることはプロ野球選手となり金を稼ぐこと。しかし自分の自慢の右腕はもう故障で再起不能だった。なんとかそれを隠し、契約金だけでも…。彼にとっての野球とはその程度のものでした。
しかし捕手の北岡には気づかれ、口止めしたはずなのに彼は監督にその事を相談にいってしまいます。須田はショックを受け北岡と揉め、そのはずみで北岡を殺してしまったのです。その後、犯行がばれて母に迷惑をかける事だけを避けるために、自分も被害者になる計画をたて、殺人に見せかけて自殺してしまう…。

なんというかもう、悲しいというか、やるせなさが凄いです…。なぜ須田のような家族を愛し野球も天才的で努力家な男や、その兄を慕っている勇樹や、北岡のような純粋な高校球児がこんな目にあってしまうんだろう…って。物語をちゃんと読んでもわかったようで納得いきません。


しかし何度も言いますが全ては須田武志の人柄にあると思います。彼の境遇もそうですが、殺人を引き起こした元凶は彼の異常とも言える考え方なのです。
それは、約束を守らなかった相手に対しては、何らかの報復をしなければいけないという考え方です。

これが元で北岡を殺してしまうという事件が起きてしまうのです。

なんか少し、この物語を成立させるために作った強引な設定な気もしましたが、まあ須田のような天才肌には多少は狂った性格もいそうだし、伏線も張られていたのでそこまで気にしない事にします(笑)


ホント、何から何まで暗い話でしたが、最後だけちょっぴり明るい終わりかただったのでホッとしました。魔球は神からの贈り物だったみたいなとことか。


  1. 2012/12/26(水) 18:54:08|
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:0

女王蜂

恋って道を踏み外すと恐ろしい事になる。

女の嫉妬も、男の欲望も、度を越してしまうと取り返しのつかない事態になってしまう。

今回紹介する横溝正史さんの「女王蜂」という長編ミステリーを読むと、そんなことを考えさせられてしまいます。

伊豆半島南部の月琴島に住む大道寺家。絶世の美女、大道寺智子が島から養父のいる東京へ引き取られる直前、「あの娘の前には多くの男の血が流されるだろう。彼女は女王蜂である。」
という不気味な脅迫状が舞い込んだ。その脅迫状どおり、智子の護衛を任された探偵、金田一耕助の前で血みどろの連続殺人が…。

というのがこの話のあらすじです。

この「女王蜂」という作品。横溝さんの金田一耕助シリーズの中では一応有名な部類だとは思いますが、どちらかというと地味なイメージもあります。
僕がそう思う理由は、この話、金田一シリーズの割りにあまりドロドロしてないのです。多分同じ一族間での殺人ではないとか、登場人物に気ちがいが少ないとかの理由でそう感じるのだと思いますが。

あと、事件の舞台が大道寺家の住む月琴島ではなく、養父のいる東京なのです。事件が都会で起こるというのもなんか違和感がある気がします。


しかし、内容はボリュームがあります。絶世の美女を中心に起きる殺人、事件の裏に潜む怪人物、暗号やアリバイ、そして全ての鍵となる19年前に月琴島で起きた密室殺人と消えた蝙蝠等々、謎解き要素満載です。


ここから先はネタバレ含んだ感想です。




まあ、相変わらず金田一耕助は散々人が死んでから事件を解決するなあと思いました。最後の開かずの間なんかあっという間に三人も死んじゃって。いやこれは置いておきます。(笑)


まず、作者の智子に対する美女描写が半端ない(笑) これでもかってくらい智子は美女であるということを説明してきます。彼女は犯行には関与しません。しかし、その彼女の美貌が犯行の動機となってしまうのです。

それに関しては、もう犯人が酷すぎると思います。全ては自分の欲望のためにあれらの残虐な凶行をくり返してしまうのです。彼のせいで何人の人が不幸になったことか…。しかもあろうことか我らが名探偵の金田一まで殺そうとするとは。欲望のためにパンツ一丁で人殺しに行くし。(それは違うかw)

智子の両親も、智子の家庭教師も、みんなかわいそすぎです。あ、あとデブの三宅くんもw

最後、智子が多門と結ばれてくれたのが唯一の幸せでしょうか。

現在進行形で起きた都会の事件はいたって仕掛けもないシンプルなものばかりでした。それよりも過去に起きた開かずの間の密室が謎解きのメインではないでしょうか。
金田一の推理を聞くと、なんだそんなことかというほど単純ではありましたが、無くなった指輪の行方などの謎も一緒に解けてスッキリ出来ました。

あと蝙蝠のトリックは面白かったです。蝙蝠の意味については「そんなんわかるかー!」とつっこみたくなりましたが。

全体的な構成がとてもしっかりしていたので、序盤から中盤にかけての無数の謎が最後に一気に繋がる様は秀逸でした。

最後が明るい終わりかただったので、冒頭にいろいろ書きましたが読後感は悪くないです。金田一シリーズの割りには(笑)
  1. 2012/12/19(水) 22:27:17|
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:0

さまよう刃

東野圭吾さんの「さまよう刃」

長峰の一人娘、絵摩が未成年の少年グループに蹂躙された末、死んでしまうというのがこの物語の始まりです。

妻を失っていた長峰にとっての最愛の娘が…絶望にうちひしがれる長峰に、謎の密告電話がかかってきます。

その密告により絵摩を襲った犯人を知った長峰は、突き動かされるように復讐に乗り出す…といった話です。

犯人達の更正に期待し、少年法で裁くのが正しいのか、それとも長峰の手により復讐するのが正しいのか…?読んでいる側もただ読むだけでなく、かなり考えさせられる話だと思います。

大体は、本の中の人物が復讐を働いても、読み手がどこまで感情移入できるかなんてタカが知れてると思います。同情かけるくらいはあるでしょうけど。

しかしこの話を読んでる間、長峰に復讐を果たして欲しいと少しでも考えている自分がいました。普段の僕なら、どんな理由があろうと人殺しはいけないと考えるところですが。

父親の目の前に、一人娘が犯され、死んでいく映像が流れる…その場に犯人の一人が居合わせてしまったら…。


犯人の一人を殺し、逃亡したもう一人を殺すために動き出す長峰、その長峰ともう一人の犯人を追う警察。そんな構図で話は進んでいき、ラストでは衝撃の展開が待ち受けています。暗めの話が苦手な方以外ならかなり面白いと思います。あと、映画だけ見たという方がいたら、原作を読まれることを強くお薦めします。映画よりも衝撃な展開あるんで。


ここからはネタバレ含みます!




正直、最後に長峰が刑事に撃たれて、復讐を果たせずに死んでしまうのは僕としては残念でした。いや、復讐できないのはいいんですけど、彼を殺さず、説得とかで決着つけて欲しかったです。まあそれが出来ないから読者も考えさせられるんですけど。このあたりは読む人それぞれですよね。

あと、密告者の正体が久塚だった点。あれは完全に中井だと思ってました。確かに最後の電話は彼にはかけられないんじゃ? とは思いはしましたが、対して気に止めませんでした(笑) 全ての事が終わった後に意外な事実が発覚したという流れは、さすが東野さんだなーって感じでした。

ただ、久塚のやったことが正しかったかどうかというと…僕は違うんじゃないかと思います。ただ、僕は親になった事がないし、家族が理不尽に殺された事もないので、あまりキッパリとは言えません。ただ、あえて言うならどんなに感情移入してしまっても長峰を止めるのが第三者の役目なんじゃないかと思います。和歌子がやろうとしていたように。久塚にも長峰のような経験があるようですが、それでも。
  1. 2012/12/10(月) 18:08:35|
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:0

人を殺す、という仕事

今回紹介する本は大石圭さんのホラー小説です。

人を殺す、という仕事

ストレートなタイトルに興味をひかれてつい買ってしまったのですが、読みだしてから軽く後悔しました。

プロローグでいきなり、主人公の男が会ったこともない妊婦を包丁で刺し殺す、というシーンでこの話は始まるのです。

その描写がとても生々しくて…、普段ミステリーでそこそこ残酷な描写は読んできたつもりだったのですが、これがホラーのレベルか…と思い知らされました。ちゃんと最後まで読めるか心配になりました。(チキンか俺はw)
「僕のもとにある日届き始めた手紙。そこに書かれた指示に従うことで、僕の人生は順調だった。手紙のお陰で今後も幸福な人生が続くと信じていた。それが殺人を命じるまでは。
従わなかった結果、母が死んだ。次は妻や娘たちの番だと言うのだ。あどけない少女、臨月の主婦…僕は次々と手を血に染めてゆく…」

というのがこの本の大まかなあらすじです。ピュアで透き通った心の持ち主にはあまりお薦めできないかも(笑)

ここからはネタバレこみです。

C となのる謎の人物から殺しの命令が手紙でおくられてくるわけですが、このC には主人公の橘のことがどういう訳か何でもお見通しで、手紙のとおり橘が殺人を遂行すればC から彼のもとに報酬が振り込まれ、かつ警察の操作は必ず彼までは伸びてきません。しかし無視をすれば彼の愛するものは必ず死んでしまいます。橘は手紙のことを妻に打ち明けました。無視すれば妻が死んでしまうことも。しかし妻は、自分のために罪なき人々を殺さないでと言います。橘はCの命令を無視し、その代わり妻は必ず守ると覚悟を決めます。それで母を失った後だと言うのに…。
結果、妻は事故死してしまいます。

Cのシッポをつかもうと、監視カメラで手紙を投函する人物を確認しようとしますが、どういう訳かそんな人物は皆無で、さらに自分が手紙を取り出すシーンを見ても、確かに何かを取り出すそぶりをしているのですが、その手にあるはずの手紙が映っていないのです…!

さらに報酬もなぜか消えていて、Cからは二度とそんな真似するなと警告の手紙がきます。

Cからは逃れられない…橘はそう確信します。

もう、読んでて凄く橘がかわいそうになりました。殺人などやりたくないのに、命令に背けば次は娘たちが…。

この話の各章では毎回始めに動物たちが人間の手により虐殺されていくエピソードが挿しこまれています。僕は読んでて気分が悪くなりましたが、なぜそんな話をするのか分かりませんでした。しかしその理由が中盤から明かされ出します。

橘は小学生のころに、「人間によって絶滅させられた動物はたくさんいる。人間はこの世で一番悪い生き物だ。たくさんいるのだから、少しくらい殺してもかまわない…」という作文を書いていました。彼自身は忘れていましたが。

もしかしたらCは人類への刺客として自分を送り込んだのでは…?と彼は思うようになります。

物語のクライマックスは切なさとスリルがミックスしたカオスな物でした。
Cから最後の指令が送られてきます。それは、地元の七夕祭りの最終日に30人以上を殺せというものでした。これが成功したら、もうあなたとの縁は切ると。ただし今回はさすがに困難なミッションのため、今までのように必ず罪を逃れられるとは限らない。むしろ失敗する確率の方が断然高い。しかし失敗したときは娘2人の命を失う…。

激しい葛藤の中、大量虐殺よりも、娘2人を犠牲にする方を選ぶ橘。しかし、Cが突然彼の前に現れ、「可能性は0じゃない。最後までベストを尽くすのが父親の役目だ」と言います。
その言葉と、愛する娘たちの姿に突き動かされ、橘は大量虐殺をする事を決めます。

結果的に橘は32人を殺して逃げ延びる…というのが物語の結末です。

CというのはCreator つまり全世界の創造主であることが最後に明かされます。だったら橘を使わずに自分で殺せよと僕は思ってしまいましたが(笑)

気持ち悪くなる描写が多く、普段はよく二度読みする僕でも今度ばかりは二度読みしたいとは思いませんでした。しかしあくまで僕が残虐なシーンが苦手なだけで、決してつまらない訳ではありません!むしろ面白くて一気に読んじゃいましたから。

最後なんか、橘が30人以上殺せたと知り、思わず喜んでしまいました。あれはハッピーエンドってことでいいのかな…??

全体的に怖くて暗い話ですが、だからこそたまに語られる橘と娘たちのエピソードのほのかな明るさ(?)みたいな物が際立ちます。

残虐なシーンばかりですが、そんなシーンが苦手な僕でもひきこまれていく物語でした。
  1. 2012/12/09(日) 21:49:26|
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:0
次のページ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。